中小企業

理研が第4次中長期計画、異分野との研究促進 100%子会社設立し企業と連携

 理化学研究所は、第4次中長期計画(2018~24年度)で産業界との連携を意識し「科学技術ハブ機能」として、企業や大学、研究機関などに理研の拠点を置き、新たなイノベーションの創出に乗り出す。研究開発において組織の壁を越えた異分野の融合を促す。

 これまで、理研では個別の研究者レベルで外部組織の研究者との交流は盛んだったが、中長期計画を遂行する中で、組織レベルの交流に引き上げていく。さらに地方自治体などとも連携し、研究成果を地域の中小企業などに還元し、地域経済の活性化を図る。

 そのための組織として、理研は研究開発力強化法などの関連法令改正を前提に、100%出資の事業子会社を設立する。企業などと共同研究の企画立案や、特許などの知的財産を有償で企業に活用してもらう技術移転機関(TLO)の機能を担う。あわせてベンチャーキャピタル(VC)と連携し、40社以上あるとされる理研発ベンチャー企業への支援や育成も手掛ける。

 組織や学問領域を越えた研究を促すため、社会課題と科学技術とを俯瞰(ふかん)的に捉え、おおむね30~50年後のあるべき国の姿を描く「イノベーションデザイナー」を育成し、産学連携による未来志向の研究開発につなげる。

 また、理研には約3000人の研究者が在籍しているが、8割超が任期制の研究者だが、中長期的な研究活動に従事できるよう、任期のない定年制研究者の数を4割程度に高める。

 松本紘理事長は記者会見で、「世の中には科学技術の力でないと解決できないことがたくさんある。産業界との連携を通じて、社会に信頼される組織を目指したい」と語った。

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