由紀精密は、ハンドスピナーの羽根の設計、世界最小の軸受けを使った組み立てを担当した。通常業務を終えた後に、製作に取りかかる。机の周りを囲いで覆って、息を潜めながら、ピンセットを使った細かな手作業の連続だった。
ハンドスピナーは回転すると羽根に遠心力がかかるために、一定程度の大きさが必要となる。その半面、小さすぎると強度が落ちやすくなり、羽根が取れてしまう。「小ささと強度の両立が一番の課題」(永松純開発部部長)となり、100種類以上も試作を繰り返した。
昨年11月に名古屋でプロの測定士による認定試験を実施。その模様を記録したビデオをギネスワールドレコーズの日本支社に提出し、同月下旬にギネス記録に認定された。
軸受けは機械や装置の内部に組み込まれており、多くの人にはあまり知られていない、いわば「黒子」のような存在だが、ミネベアミツミの石川室長は「これを機にものづくりに少しでも関心を持ってもらえたらうれしい」と話している。