サービス

違っていた「目のつけ所」 なぜ日本企業がアマゾンに“してやられた”のか (7/7ページ)

 そして、この来店客数を増やすにはどうすればいいかが課題となります。

 一方、アマゾンの「ライフタイムバリュー×アクティブユーザー数」の収益モデルでは、Aという顧客が1週間に1回買い物をしてくれても、3回買い物をしてくれても、Aという顧客は「1人」です。

 そして、その「1人」をライフタイムバリューの高いアクティブユーザーへと育てるためにはどうすればいいかを考え、稼いだ利益を商品の値下げやいまあるサービスの質の向上に投資し、顧客の体験価値を高めていく。

 たとえば、ビデオ配信サービスもそうです。アマゾンがビデオ配信サービスのため、2017年にオリジナルの映像コンテンツ制作に投じた予算は45億ドルと、アメリカのビデオストリーミング大手、ネットフリックスの60億ドルに迫るといいます(『日経ビジネス』2017年10月2日号より)。

 その体験価値を高めるため、アマゾンは今後も、商材をどんどん増やしながら、プライム会員に提供するサービスを量、質ともに向上させていくでしょう。

 もし、Aという顧客の立場で考えたとき、「客単価×客数」を高めようとする収益モデルと、「ライフタイムバリュー×アクティブユーザー数」を重視する収益モデルのどちらに魅力を感じるかといえば、後者になるでしょう。

 これが既存の流通業とアマゾンの最大の違いといえるでしょう。

 鈴木康弘(すずき・やすひろ)

 デジタルシフトウェーブ社長

 1987年富士通入社。SEとしてシステム開発・顧客サポートに従事。96年ソフトバンクに移り、営業、新規事業に携わる。99年ネット書籍販売会社、イー・ショッピング・ブックス(現セブンネットショッピング)を設立し、代表取締役就任。2006年セブン&アイHLDGSグループ傘下に入る。14年セブン&アイHLDGS執行役員CIO就任。グループオムにチャネル戦略のリーダーを務める。15年同社取締役執行役員CIO就任。16年同社を退社し、17年デジタルシフトウェーブを設立。同社代表取締役社長に就任。デジタルシフトを目指す企業の支援を実施している。SBIホールディングス社外役員も兼任。

 (デジタルシフトウェーブ社長 鈴木 康弘 写真=AFP/時事通信フォト)(PRESIDENT Online)

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus