一方、高いスキルや豊富な経験を持つ大企業出身者を、有力な後継候補に考える中小企業は少なくない。中高年社員にとっても、事業承継は起業に比べリスクを減らせるメリットがあるという。
人工知能(AI)やロボットの登場により、メガバンクをはじめ多くの大企業で人員削減の動きが出ていることも拍車を掛ける。リクルートキャリアによると、転職希望者として登録した銀行員数は17年度に前年度比3割増えた。
人材戦略に詳しいデロイトトーマツコンサルティングの小野隆執行役員は「国の労働力が減る中、大企業と中小企業の人材の需給ギャップは大きな問題」と指摘。事業承継問題が日本の労働市場を変える契機になり得るとみている。