金融

政府を巻き込んだ官庁間闘争…「地銀再編」で金融庁と公取委が争うワケ (3/5ページ)

 選択肢としての経営統合

 こうした環境下で経営統合(合併)は「金融機関の健全性を維持するための一つの選択肢だ」と報告書はいう。金融業はシステム費用や人件費など多額の固定費が発生するため、規模の経済が働きやすく、経営統合はシステムなどの共通化、重複店舗の削減などによる規模の利益の発揮を通じて金融機関の経営体力を高める可能性があるからだ。

 また、経営統合により生み出される余力が、時間をかけた取り組みが必要とされる地域企業の育成、地域経済の発展のために使われれば、地域にとって恩恵がもたらされる。このことは競争のあり方を金利の高低による「一元的な競争」から本業支援など様々なサービスを競い合う「多元的な競争」へと転換することにもつながる。

 ただし、同一地域内の経営統合により、利用者にとって金融機関を選択する自由が失われ、金融機関の市場支配力が高まり、金融機関の寡占・独占の弊害が生じることを防がなければならないと報告書はいう。

 同一地域内の金融機関同士の経営統合は、重複店舗の整理統合などの面で統合のメリットを一層発揮しやすい。他方、同一地域内の経営統合により、利用者にとっての選択肢が失われ、金融機関の市場支配力が高まり、金融機関が独占利潤を得たり、サービスの質を悪化させるという寡占・独占の弊害を生じさせることがないようにしなければならない。

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