□チームスピリット・荻島浩司社長
チームスピリットは、企業の従業員向け業務管理プラットフォーム「TeamSpirit」を開発し、運営している。出社から退社まで働く人の活動を一元的に記録して可視化することで生産性向上を実現し、働き方改革に貢献する。8月22日に東証マザーズ市場に新規上場した荻島浩司社長に、今後の事業戦略について聞いた。
--業務管理プラットフォームとは
「勤怠・就業・工数管理、経費精算、電子稟議など従業員が毎日利用する7つの業務システムを1つにまとめた。単なる出退勤記録だけでなく、残業時間の推移や休暇の取得状況など、長時間労働の抑制や休暇の管理に役立つ。リアルタイムに働き方を可視化し、時間や経費の使い方などを分析することで生産性を高めて、働き方改革の実現を支援する。これまでに930社以上に導入され、約13万人が利用しており、ライセンス収入は売上高の76%を占める」
--業績の推移は
「売上高は2013年8月期から17年8月期までの直近5年間で平均71%成長してきた。18年8月期は12億1900万円で、前期比58%増と高い伸びが続く見込みだ。経常利益は3500万円の黒字に転換すると見込んでいる。黒字化の背景は、積極的な営業活動により契約ライセンス数が順調に増え、損益分岐点を突破したことにある」
--市場の見込みは
「働き方改革法が来年4月に施行されることから、法改正に対応するためシステム導入が加速するだろう。国内でのビジネスITツールの利用率はまだ低く、伸びる余地は大きい。当社がターゲットとする従業員100人程度の中規模以上の企業に働く人は、総数で2900万人強いる。当社のプラットフォームはまだ13万人の利用者しかいないので、大きく成長できると見込んでいる」
--上場の狙いは
「サービスを展開していく上で、多くの投資や人材の確保が必要になってくる。このため知名度を向上させ、信用力を高める観点から上場した」
--事業をどう伸ばすのか
「働き方改革の特需を捉えるためのマーケティングや営業活動を強化する。大企業による導入が増えているので顧客ニーズに応えるとともに、働く人の活動データを活用する生産性向上のための新しいサービスもリリースする。既に外資系企業の日本進出や日系企業の海外進出時のサポートツールとして利用実績が多数あるが、シンガポールをはじめ、アジア太平洋地域を中心にグローバルにも広く展開したい」
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【プロフィル】荻島浩司
おぎしま・こうじ 1982年デザイン会社入社。システム開発会社を経て、96年11月デジタルコースト(現・チームスピリット)を設立し、現職。58歳。埼玉県出身。
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【会社概要】チームスピリット
▽本社=東京都中央区京橋2-5-18 京橋創生館4階
▽設立=1996年11月
▽資本金=7億3309万円
▽従業員=65人 (2018年6月末時点)
▽売上高=12億1900万円 (18年8月期見込み)
▽事業内容=SaaS(サービスとしてのソフトウエア)開発提供