教育事業を核に介護やITなどの事業を展開するヒューマンホールディングス(東京都新宿区)の傘下で、人材事業を手掛けるヒューマンリソシア(同)は、ルーマニアの国立大であるブカレスト経済大学と日本文化、芸術、歴史などの文化活動や日本語教育分野で協力する覚書を結んだ。同大学は統計・データ分析や経済学分野でルーマニアのトップクラス。ヒューマンリソシアはこれを機に東欧圏のIT人材の採用を強化する考えだ。
同社が東欧圏の大学と覚書を結ぶのは初めて。現地の日本企業や日本関連の情報は不足しており、ヒューマンリソシアはまず、日本文化や日本語、日本での就職状況などの情報を提供する日本研究センターを大学内に開設した。
日本国内では、人工知能(AI)やモノのインターネット(IoT)の普及などで経営のIT化が進む中で、IT人材不足が深刻になっている。ヒューマンリソシアは、海外からのIT人材を日本企業に仲介し、2020年に現在の3倍強の1000人まで増やす計画だ。
ルーマニアのIT産業はインドなどに比べて知名度は低いが、欧州各国からのソフト開発受託も盛んで、優秀なIT・ソフトウエア分野の人材が豊富。一方、比較的給与水準が低く、競争力が高いといわれる。
まず同センターをブカレスト経済大の学生をはじめ、近隣大学の学生や社会人にも開放し、日本への関心を高めてもらう。
ルーマニアでは、日系企業の進出が多様化しつつある。欧州市場をにらんだ自動車・機械部品製造分野のほかIT分野でもNTTデータが企業を買収し、NECも協業している。