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民泊新法6カ月、件数伸び悩み 新事業期待も…トラブル警戒で手続き煩雑に (2/2ページ)

 「長浜古民家くらし研究会」(滋賀県長浜市)が携わる、築130年超の古民家を改装した「竹生優庵(ちくぶゆうあん)」は県内の民泊1号物件。周辺は農業地域で観光客はほとんど来ないが、古民家泊の農業体験で旅行者を呼び込む狙いだ。大森敏昭会長は「来た人がリピーターになるような企画を用意する」と話す。

 ただし新法施行後の民泊届け出受理件数は11月末時点で1万1000件程度。年内2万件超を予想していた富士経済ネットワークス(東京都中央区)は「民泊関連業者は想定以上に伸びてこないと感じているのでは」と話す。大手仲介サイトの幹部も、自治体への届け出など新法のルールを守らない違法民泊の撲滅の重要性を強調しつつ、「民泊そのものを増やすこと」との両立の難しさに危機感をにじませる。

 民泊件数伸び悩みの背景には、手続きが煩雑で分かりにくいという事情もある。観光庁の調査によると、自治体の9割で、法令に規定のない独自書類の提出を民泊に求めるなどの行為があった。一般の住宅に観光客が出入りする民泊で起きる周辺住民とのトラブルを防止したい自治体の不安感が過剰な手続きを招き、結果として参入障壁になっているようだ。

 観光庁は「届け出は書類がそろえば受理するもの。やり過ぎれば不適切で行政手続法に違反する可能性もある」と自治体に通知。該当する自治体名を公表して改善を促している。(日野稚子)

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