高論卓説

インドネシア地震の津波災害 ひとごとではない東京との類似性 (2/2ページ)

 このときの津波で静岡・熱海の町が壊滅的な被害を受けている。一方、東京湾口部における地滑りは比較的小規模で、東京湾内はで2メートル以下の波高にとどまった。想定されている次回の関東地震で、東京湾内の津波波高がその程度でとどまる保証はどこにあるだろうか。

 日本の人口の1割以上が居住し、産業インフラが集中する東京湾岸域の重要性を考えると、日本がスラウェシ島地震の教訓から学ぶことは多い。

 まず、パルにおける海底地質調査を徹底的に行って、津波の発生と伝搬のメカニズムを明らかにする必要がある。特に、地滑りによる海底地形の変化を特定するとともに、海底の地層層序をソナーとボーリングによって明らかにする。

 次に、同様の調査を東京湾口部と相模湾で行って、パル湾のそれと比較し、東京湾・相模湾における海底地滑り発生の危険性を評価する。地上においても、荒川・江戸川のデルタ地帯における液状化と緩斜面大規模地滑り発生の可能性も検討する必要がある。

 日本近海の海底地形図を見ると、東京湾・相模湾の他に、伊勢湾伊良湖水道沖の遠州灘・熊野灘や紀伊水道口沖の室戸舟状海盆に至る急傾斜地域に海底地滑りでできたと思われる特徴的な地形を見いだすことができる。

 また、これらの急傾斜海域が、1944年の東南海地震、1946年の南海地震のときの津波波源域と一致している。これらの地域の地滑りによる津波発生の可能性の評価を含めた総合的な対策により、想定される東南海・南海地域巨大地震の被害が最小に抑えられることを切に願っている。

【プロフィル】戎崎俊一

 えびすざき・としかず 理化学研究所戎崎計算宇宙物理研究室主任研究員。東大院天文学専門課程修了、理学博士。東大教養学部助教授などを経て1995年から現職。専門は天体物理学、計算科学。

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