空の旅サポート 男性CA奮闘中 力仕事やトラブル対応で存在感

同僚と打ち合わせをする日本航空の客室乗務員、中村裕樹さん(中央)=11月、羽田空港
同僚と打ち合わせをする日本航空の客室乗務員、中村裕樹さん(中央)=11月、羽田空港【拡大】

 国内の航空会社で男性客室乗務員(CA)の存在感が高まっている。かつては女性が憧れる職業の代表格だったが、大手と特色の違いを打ち出す中堅や格安航空会社(LCC)が積極的に採用。力仕事や機内トラブルへの対応も期待され、快適な空の旅をサポートする「空男」が奮闘している。

 北九州空港を拠点に羽田便などを運航する中堅航空会社スターフライヤー。伊藤晃一さん(38)はホテルマンからCAに転身した。学生時代に旅行で利用した外国の航空会社で、男性CAを「かっこいい」と思ったのがきっかけだ。

 「日本の航空機内はなぜ女性ばかりなのか不思議だった」。男性の強みとは何かを考え、荷物の積み降ろしや車いすの人が座席に移る際の介助など力仕事を買って出る。

 「女性と男性では乗客のニーズを察知するアンテナが違う。互いの良さを合わせれば、サービスの質は高まる」と伊藤さん。スターフライヤーのCA約160人のうち男性は8人で、来年夏までに新たに6人が加わる見通しだ。「男性CAの活用は、大手と異なるサービスを乗客に印象づける有効な手段」(同社広報)。LCCの一つ、ジェットスター・ジャパン(千葉県成田市)もCAの約15%を男性が占める。

 外国の航空会社で男性CAが目立つ背景には「おもてなし」についての考え方の違いがある。

 1933年発足のエールフランスでは当初の乗務員は全員男性で、現在も3分の1に上る。「フランスでは高級レストランなどの接客は男性が担う文化がある」(同社広報)。一方、日本では「ビジネスで国際線を使う男性客のために、若い女性による接客がふさわしいという空気があった」(国内航空大手幹部)。

 そんな状況も変わりつつある。日本航空CAの中村裕樹さん(38)は「最近は若い女性や外国人の乗客が目立ち、多様なニーズに合わせて男性が活躍できる余地が広がった。20代の男性CAも増えている」と胸を張る。

 航空アナリストの鳥海高太朗さんによると、結婚や出産後もCAとして働き続ける女性が増え、男性が生涯の仕事として選びやすくなったことも影響している。

 男性CAの活躍は漫画の舞台にも。講談社の週刊誌「モーニング」に今夏まで掲載された「空男ソラダン」は、人生に希望の持てない高校生、空賀カケルが修学旅行で出会った女性CAに触発され、航空会社に就職し、成長する物語だ。

 母親がCAだった作者の糸川一成さんは「取材を通じ、男性には酔って暴れる客などのトラブルを解決する要の役割が期待されていると知った。漫画をきっかけに『空男』を目指す人が増えてほしい」とエールを送る。