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「白いセンチュリー」が大きな話題 箱根駅伝をイメージ戦略の観点で見る (1/2ページ)

 新年早々、SNSで大きな話題を呼んだ自動車がある。箱根駅伝に、大会本部車として運用されたトヨタ自動車提供の「白いセンチュリー」である。

 日本を代表する超高級車、センチュリーがスポーツイベントに登場することなど、まず考えられない。しかも、ひときわ目立つ「白」。沿道で声援を送ったり、テレビ中継を見たりしていたクルマ好きな人たちが驚いて情報発信したのも無理はない。

 新聞報道によれば、トヨタの豊田章男社長の専用車として運用されている「トヨタ センチュリーGRMN」だという。ナンバーはトヨタグループ創業の祖、豊田佐吉の生まれ年に合わせた「1867」だ。

 特別仕様車だから庶民とは縁はないが、大会の格付け、あるいはスポンサーとして数多くの車両提供をしている“トヨタの顔”として意味は大きい。

歴代最高の視聴率

 箱根駅伝が新春の風物詩となって久しい。例年、1月2、3日の両日で100万人超の“観客”が沿道から声援を送り、多くの視聴者がテレビに見入る。

 今年の大会、ビデオリサーチの調べでは、2日間平均で31.4%の視聴率を記録した。歴代最高視聴率である。

 詳しくみると、2日の往路は30.7%、3日の復路は32.1%。それぞれ歴代1位だ。

 さらに、往路の瞬間最高視聴率は37.5%で、午前9時3分のトップ集団が1区から2区にタスキをつないだ場面。復路は午後1時29分の37.7%、最終10区で青山学院大のアンカー鈴木塁人選手がゴールする瞬間だった。

 今年の大会は青学の5連覇に注目が集まった。1区は意外な混戦となり、テレビから目が離せなくなったのだろう。

 復路はトップで箱根を駆け下りた東洋大、8区で逆転した東海大。それを追い上げる青学という展開で、終盤まで見た人が少なくなかったようだ。

 そこに「白いセンチュリー」だ。登場効果は絶大だといっていい。ライバルの日産自動車は昨年11月に逮捕された前会長のカルロス・ゴーン容疑者の影響で企業イメージを落としている。自ら仕掛けたのか、仕掛けに乗ったのか。それは分からないが、トヨタの今大会の戦略は大成功である。

 トヨタ式のイメージ戦略が、今後、箱根駅伝で増えてくるかもしれない。そんな予感さえ抱かせる作戦ではあった。

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