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ゴーンEV路線継承で勝算 日産「リーフ」に高性能モデル リーダーの地位死守

 前会長のカルロス・ゴーン容疑者逮捕に揺れる日産自動車は9日、主力の電気自動車(EV)「リーフ」に航続距離を大幅に延ばした高性能モデルを追加すると発表した。ゴーン容疑者が敷いたEV開発に集中する路線を継承する方針も示した。ゴーン容疑者の逮捕後の商品発表会は初めて。EVはじめ次世代車をめぐる開発競争が激化する中、技術の優位性を維持できるのか。日産の手腕が問われている。

逮捕後初の発表会

 高性能モデル「リーフe+(イープラス)」は23日に国内で販売を始め、今春以降には欧米にも順次投入する計画だ。

 新型モデルは、2017年10月に発売した2代目リーフとほぼ同じ容積に、従来の約1.5倍の62キロワット時のリチウムイオン電池を搭載することで、力強い加速を実現。1回の充電で走れる航続距離も、2代目から約4割増の458キロに延ばした。

 発表会では災害時を想定し、EVに蓄えた電力を洗濯機や電気コンロなどに給電するデモンストレーションも披露。1日の消費電力量が約10キロワット時とされる一般家庭の場合で、EVが賄える電力を従来の3日分から4日分に増やした。希望小売価格は416万2320円から。

 9日に横浜市内で開いた発表会で、日産のダニエレ・スキラッチ副社長は「EVのリーダーとしての地位を維持してきた。この成功で満足することは決してない」とゴーン容疑者のEV路線を引き継ぐ決意を述べた。

 ゴーン容疑者は、競合他社が懐疑的だったEVを「次世代エコカーの本命」といち早く位置づけて開発を加速。10年にはリーフを日本と米国に投入。仏ルノーや三菱自動車を合わせた企業連合のEV世界販売は17年末に累計54万台に達した。

 16年度までに達成するとしていた累計150万台には遠く及ばなかったが、世界で活発化する電動化の流れをリードする形となった。

優位続く保証なし

 国内では16年に、エンジンで発電しモーターだけで駆動する独自技術「eパワー」の搭載車を投入し、販売拡大の原動力に育成。世界最大のEV市場に躍り出た中国では、22年までにEVなどの電動車を20車種以上投入する計画を打ち出した。

 ただ、異業種も巻き込んで次世代車をめぐる開発競争が過熱する中、リーフで培った技術の優位性が続く保証はない。今後は自動運転技術などでも差別化を鮮明にするほか、マーケティング力で顧客との距離を縮める課題も突きつけられている。(臼井慎太郎)

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