経団連 景気不透明、政府との関係に距離 19年春闘

 経団連が発表した2019年版経労委報告からは、「安倍総理」という言葉が完全に消えた。春闘交渉にあたっての「経営側の基本スタンス」では、「近年の春季労使交渉を『官製春闘』と批判する向きがある。(中略)最終的には企業経営者が主体的に判断した結果。そもそも賃上げは、政府に要請されて行うものではない」とする文言まで盛り込まれた。

 昨年就任した中西宏明会長の下で初めてまとまった報告は、「官製春闘」への決別宣言ともとれるが、会見した工藤泰三副会長は、安倍晋三首相の6年連続の賃上げ要請について、「経済の好循環を一緒につくっていこうという、応援メッセージ」と説明した。

 ただ、「デフレ脱却へ賃上げは不可欠」という共通認識で、「阿吽(あうん)の呼吸」を保ってきた中西経団連と政府の関係に、わずかに陰りが見え始めた。

 それは、工藤氏の言う海外経済リスクだ。新春の経済3団体の新年祝賀パーティーでも、経営トップの多くが、景気の先行き不安を口にした。収益基盤の弱い中小企業が賃上げについていけない実態も、産業構造上問題だ。

 工藤氏は「言われた通り賃上げして会社が立ち行かなくなっても、政府が面倒を見てくれることはあり得ない」とも語った。19年春闘は18年度の業績が元になるが、景気の不透明感が、来冬の賞与など年収べースでの先行きに影を落としている。(大塚昌吾)