シャープ3年ぶりに「第二の創業の地」へ 旧本社跡地前にショールームを2月移転

ビルが取り壊されて更地となっているシャープの本社跡地=大阪市阿倍野区(織田淳嗣撮影)
ビルが取り壊されて更地となっているシャープの本社跡地=大阪市阿倍野区(織田淳嗣撮影)【拡大】

  • シャープがショールームを移転する「田辺ビル」=大阪市阿倍野区(織田淳嗣)

 シャープが超高層ビル「あべのハルカス」(大阪市阿倍野区)に置いているショールームを閉鎖し、旧本社ビル跡地の前にある自社所有の「田辺ビル」(同)の一角に移転させることが30日、分かった。田辺ビルにはかつて営業などの部署が入っており、本社ビル跡地とともに周辺はシャープの「第二の創業の地」として知られる。移転は2月中旬にも実施する計画で、現在は堺市に本社を置くシャープが3年ぶりに、ゆかりの地で“復活”を果たす。

 シャープは一等地にあるハルカスに平成26年3月からショールームを開設していたが、経費削減のため退去を決めた。田辺ビルは大阪メトロ御堂筋線の西田辺駅近くでアクセスもよく、ショールームに適していると判断した。

 シャープは経営危機時の28年3月、旧本社ビルと田辺ビルをそれぞれ売却。同年7月、堺市へ本社を移転した。

 ただ、旧本社周辺は、東京で創業した早川徳次が関東大震災を機に大正13年から拠点を設けた「第二の創業の地」とされてきたため、シャープの親会社となった台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業から派遣された戴正呉(たい・せいご)会長兼社長が両施設の買い戻しを打診。旧本社ビルはかなわなず取り壊されたが、田辺ビルは買い戻して33(2021)年中の再開発計画が発表されている。シャープには自社関連施設の移転で再開発に弾みをつける狙いもあるとみられる。