大ガス、LNGタグボートに燃料補給 国内2例目


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 4月から大阪湾で商業運航する液化天然ガス(LNG)を燃料とする商船三井のタグボートに対し、燃料を供給する大阪ガスは31日、大阪府泉大津市の堺泉北港で、タンクローリー車を使ったタグボートへの燃料補給作業を公開した。

 横浜港では平成27年に日本郵船が建造した国内初のLNG燃料タグボートが運航し、東京ガスが燃料を供給しているが、西日本でのLNG燃料船の運航と燃料供給は初めて。重油が大半を占める船舶燃料は、国際的な環境規制の強化によってLNGへの切り替えが進むと見込まれており、大ガスは将来的にLNG基地などを使って大型船に燃料供給することを視野にノウハウの蓄積を図る。

 商船三井のタグボートは全長約43メートル、総トン数約250トンで、試運転を経て4月に就航する。主に大型船が大阪湾に入出港する際に補助する役割を担う。

 ■LNG燃料船の普及見据え官民活発化

 船舶燃料でLNGが注目されるのは、国際海事機関(IMO)が2020年から全世界の海域で硫黄酸化物(SOx)の排出規制を強めるためだ。LNGはSOxの排出量をほぼゼロにし、二酸化炭素(CO2)の排出量も3割ほど削減できる。すでに欧州や北米ではLNGに対応したコンテナ船やクルーズ船などが100隻規模で導入されており、日本国内でも普及を見越した官民の動きが活発化してきた。

 国土交通省は、国内の主要港にLNG燃料船への燃料供給拠点(バンカリング拠点)を整備することで、コンテナ船やクルーズ船の就航数を増やして国際競争力を高めたい考えだ。必要な施設の整備に対する補助制度を創設し、昨年には東京湾と伊勢・三河湾の事業への補助を決めた。

 東京湾の事業には住友商事など3社、伊勢・三河湾の事業には中部電力や日本郵船など4社が参加。LNG燃料船に横付けして燃料を補給するための船舶(バンカリング船)の建造を進める計画だ。

 また、九州電力や西部ガスなど4社も昨年、九州・瀬戸内地区を航行する船舶にLNGを供給する事業の共同検討を開始。将来のバンカリング船の建造も視野に入れている。

 SOxの排出規制については、他に硫黄分の少ない重油を代替燃料として使ったり、船舶に硫黄分の除去装置を設置したりして対応する方法もあるが、大ガス関係者は「どの対応策でもコストはかかるため、排出量をほぼゼロにできるLNG燃料船の導入はある程度増えるはず。右肩上がりが保証される魅力的なマーケットだ」としている。