マネジメント新時代

EVシフト…部品メーカーの対応は 日本電動化研究所 (2/2ページ)

生き残り策は?

 それではどうすれば良いであろうか。米中の貿易摩擦などまだ不確定の要素も多いが、現在の工作機械や半導体装置を例に出すまでもなく、突然ボリュームが下がることはあり得るであろう。筆者としては現段階で最悪のことも考え、以下のようなシミュレーションを想定しておくことも大切のように思える。

 ▽現在の生産ボリュームが3割以上減少した場合、どうするのか▽現在の商流から川上、川下など参入できる余地はあるか▽系列を超えて、他社にアプローチの可能性はあるか▽輸入される廉価な部品を想定した場合、自社でのコスト競争力はあるか▽現在の人手不足から、リストラが拡大すると人余りになる可能性がある。どのような対応方法があるのか▽新規分野の開発は既に着手しているか。いつモノになるかめどがついているか-などだ。

 とくに、新エネルギー分野や、昨年から話題になっている「モビリティのサービス化(MaaS)」に関連する業務はどうか、海外事業は引き際を考えているか(一般的に、進出するより引き際が最も難しいといわれる)、本業以外のものに手を出していないか、その将来性はどうか-といった検討をしておくことが重要だ。

 敬愛する経営学者のピーター・ドラッカーは「不況時にも機会は訪れる」と言う。どのような環境下でもチャンスはあるという意味であろう。

 現段階であまりに悲観的になる必要もないが、マネジメント層はいつ何が起きても良いように、いろいろなことを想定し身構えておくことは大切であろう。好景気の時にはあまり心配なかったキャッシュ・フロー経営が改めて求められるのであろうか。

【プロフィル】和田憲一郎

 わだ・けんいちろう 新潟大工卒。1989年三菱自動車入社。主に内装設計を担当し、2005年に新世代電気自動車「i-MiEV(アイ・ミーブ)」プロジェクトマネージャーなどを歴任。13年3月退社。その後、15年6月に日本電動化研究所を設立し、現職。著書に『成功する新商品開発プロジェクトのすすめ方』(同文舘出版)がある。62歳。福井県出身。

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