高論卓説

修復できるか日産の“傷” 融和姿勢示すルノーへの対応焦点 (2/2ページ)

中西孝樹

 2月13日には、アライアンスのガバナンスをつかさどるオランダのルノー日産BV統括会社のCEOには、ゴーン被告に代わりボロレ氏が就任した。ルノー側は着々とポスト・ゴーン体制を構築しており、日産とのアライアンスの立て直しを目指してくるだろう。

 一方、日産のガバナンス(企業統治)体制の修復にはまだ時間を要する。3月末に予定されるガバナンス改善特別委員会の答申に沿って、日産が取るべき新経営体制を西川(さいかわ)広人社長とスナール会長を中心に議論を進めることになる。ガバナンス体制が定まらなければ、経営執行体制、管理職も含めた経営安定化のめどは立たない。

 ルノーの新経営体制で主導権を持つのは間違いなくスナール会長だ。国際企業の名経営者との世評通り、バランス感覚を保った両社の経営のかじを取りそうだ。仏政府の過度な介入にくぎを刺し、フェアなガバナンス体制を示すのではないか。同氏にいかなる考えがあっても、牙を隠し融和姿勢を示すだろう。日産は自滅の可能性があるからだ。

 最大の山場はゴーン被告の保釈のタイミングである。保釈後の主張は日産に混乱を来すリスクがある。ゴーン被告の嫌疑に関して、日産の企業責任を含め、ゴーン独裁の周辺に存在した経営陣や組織の疑義が晴れたわけではない。

 保釈が認められないいらだちからだろうか。ゴーン被告の弁護人に、大鶴基成弁護士らが辞任し、ロス疑惑銃撃事件で有名な弘中惇一郎弁護士が就いた。どうやらこの戦いは、第2幕に入る気配が漂い始めた。

【プロフィル】中西孝樹

 なかにし・たかき ナカニシ自動車産業リサーチ代表兼アナリスト。米オレゴン大卒。山一証券、JPモルガン証券などを経て、2013年にナカニシ自動車産業リサーチを設立。著書に「CASE革命」など。

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