【eco最前線を聞く】間伐材で木材ストロー、脱プラに貢献

間伐材で作られた木材ストロー
間伐材で作られた木材ストロー【拡大】

 □アキュラホーム住生活研究所長・伊藤圭子氏

 プラスチックごみによる海洋汚染が世界的問題となり、使い捨てプラスチックを削減する動きが高まっている。こうした中、ザ・キャピトルホテル東急(東京都千代田区)内のラウンジ「ORIGAMI」で1月16日から木材ストローが試験的に使われている。環境ジャーナリストの呼び掛けに賛同して導入を決めたが、このウッドストロープロジェクトに企画・開発で携わっているのが木造注文住宅を手掛けるアキュラホーム(同新宿区)。責任者を務める住生活研究所の伊藤圭子所長に狙いや課題などを聞いた。

森林問題に技術生かす

 --プロジェクトに参画するきっかけは

 「ジャーナリストの竹田有里さんから相談を受けた。昨年7月の西日本豪雨の取材で『間伐など適宜適切な森林管理が行われておらず、甚大な被害をもたらした。人手不足や安価な輸入材の流入で国産間伐材の需要が激減しているからで、間伐材を使った木材ストローを製品化すれば脱プラスチックにもつながり一石二鳥になる』と持ち掛けられた。木材ストローをきっかけに森林問題を考える機運が高まればいい。木造住宅に誇りを持つ会社として技術的に貢献できるので一緒に取り組むことになった」

 --「カンナ社長」と呼ばれる宮沢俊哉社長が率いる会社の技術力が生きた

 「ストローメーカーではないので戸惑ったが、社内にはカンナ掛けした後の薄い木材があふれている。削りクズの使用に慣れており、竹田さんの『作りたい』に応じられると判断した。しかし、巻くとストローができるのか、中をくりぬいた方がいいのか、それとも鉛筆をつくるように張り合わせた方がいいのか試行錯誤の連続だった。たどり着いたのが、カンナ掛け技術を活用して、厚さ0.15ミリにスライスして斜め状に巻く方法。見た目も美しい。世界初なので意匠権を申請中だ」

 --間伐材を使った社会貢献活動に取り組んでいる

 「木の家を提供する会社として、子供たちに木の素晴らしさを伝える『木望(きぼう)の未来プロジェクト』を展開。間伐材で製作した小学校学習机の天板を寄贈してきた。出張授業『ふれあい授業』も行い、講演やカンナ掛け体験などを通じ森林の大切さなど地球環境保全についての知識を深めてもらう取り組みにも力を注いでいる」

 --昨年12月に木材ストロープロジェクトを発表した

 「メディアが注目してくれたおかげで家を建てたオーナーから『頑張って』という応援だけでなく、『木材ストローを買いたい』という声も届いた。商社やホテル・旅館などからの問い合わせも少なくない。発表後も安全性や快適性などで完成度向上に取り組んでおり、導入したORIGAMIでの利用者の声を聞きながら仕上げていく」

1000本を9日間で消費

 --実際の声は

 「今年3月末までに使い捨てプラスチックストローの提供を終了するキャピトル東急は、ORIGAMIで木材ストローに切り替えることをメニューの1ページ目に追加して周知に取り組んでいる。木材ストローも好評で1カ月1000本を試験導入する予定だったが9日間でなくなり、お客さまとスタッフとの会話も増えたという」

 --供給体制の整備は

 「要望に応える態勢をいち早く構築したい。木材ストローの生産はクレコ・ラボ(同港区)に任せているが、生産能力を増強しても足りない。キャピトル東急だけでも年間8万本のストローを使っており、弊社でも4月から住宅展示場に配備する予定だ。他社からの要求にも応えたい。脱プラスチックの流れは世界で起きており海外の関心は高く、需要先行の市場といえる。間伐材需要を増やすことで森林を守れる。使いたい人は世界中に存在するが、作りたい人が出てこないのが残念だ。ぜひ手を挙げてほしい」(松岡健夫)

【プロフィル】伊藤圭子

 いとう・けいこ 京大工学部卒。1980年建設省(現国土交通省)入省。2013年アキュラホーム入社。14年住生活研究所長。兵庫県出身。