【日本の未来を考える】カード情報利用どこまで 学習院大教授・伊藤元重 (2/2ページ)

伊藤元重・学習院大学教授(野村成次撮影)
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 プロファイリングが行われていることを、私たちはある程度納得した上で、クレジットカードを利用している。それどころか、たくさん購入しているということをカード会社に認識してもらうことで、ポイントなどを稼ごうという人も多い。だから情報が吸収されることが一概に悪いということでもない。情報利用にどこまで歯止めがかかるのか、そして利用者がどの程度納得するのか、ということにもよるのだ。利用者の情報の収集・分析・利用にどのようなルールを設定するのかということが大きな問題となる。

 ところで、キャッシュレス決済とはいっても、プリペイド型であるスイカのような鉄道系の電子マネーは、ユーザーが匿名性を確保できる現金に近い存在だ。日本でこれだけ現金が利用されることの理由の一つは、多くの人が匿名性を求めていることだろう。その意味でプリペイド型の電子マネーは優れている。ただ、匿名性が高いので、巨額の利用が可能になると、マネーロンダリングなど犯罪に利用されかねない。だからこそ、現在では限定した額しか利用できない仕組みとなっている。匿名性は魅力的ではあるが、犯罪ということを考えると課題も多い。(いとう もとしげ)