東京商工リサーチ特別レポート

大物コンサルの逮捕で浮かぶ事業再生の闇 繰り返された謎の本社移転 (2/2ページ)

東京商工リサーチ

 A氏ら被告側は「預金の移動指示はしていないし、移動したことも知らない」と容疑を否定。棄却を求めて現在も裁判は継続中だ。

税務当局のかく乱が狙いか

 このような中、札幌地検特別刑事部が1月18日、A氏ら4名を逮捕した。

 北海道に本社を構えていたY社。A氏は2017年7月に代表に就任したが、7カ月後の2018年2月、Y社は札幌市から千葉県に本社移転した。

 札幌地検の逮捕容疑は、Y社は「消費税等を滞納」していたが、A氏らが虚偽の債権譲渡通知を取引先に郵送し、Y社の売掛金を別会社に振り込ませて消費税等の滞納処分の執行を免れたことだという。

 A氏が役員に就任した企業が本社を移転する理由について「税務当局や債権者のかく乱が狙い」と指摘する人がいる。他地区への本社移転は事実把握が難しくなるためだ。

 中小企業の事業再生は社会的意義が大きく、A氏の手腕に期待する人はいる。これに対し、回収不能が生じた債権者の多くは悔しさを込めてA氏を「整理屋」と断罪する。

 事業再生は、再生後の事業発展のために金融機関や債権者の信頼と協力が欠かせない。A氏を受け入れる企業の多さは、事業再生を望む企業に核となる人材や支援者が少ないことの反映でもある。

 《東京商工リサーチ特別レポート》大手信用調査会社の東京商工リサーチが、「いますぐ役立つ最新ビジネス情報」として、注目の業界や企業をテーマに取材し独自の視点に立った分析をまとめた特別レポート。随時掲載します。

▼東京商工リサーチ特別レポートのアーカイブはこちら

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus