富士通、文化財修復に画像技術活用 来年度実用化へ


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 富士通が災害で壊れた文化財を修復する事業に乗り出すことが分かった。復元する箇所を画像処理の技術によって高速で特定し、作業効率を大幅に高める。被災地の復興を支援する狙いがあり、2019年度中の実用化を目指す。

 熊本地震で崩落した熊本城(熊本市)の石垣修復への活用を想定している。富士通のシステムは崩れ落ちた石の表面の凹凸や輪郭といった特徴を画像で解析し、被災前の石垣全体の画像も使って元々あった位置を特定する。昨年に熊本城で実証実験を行い、123個の石のうち101個の復元場所を1日で確認した。

 国が特別史跡に指定する文化財などは、被災前の姿に戻す必要がある。熊本城の完全修復には20年程度かかるとされ、その中の石垣は約3万個の石が崩れている。石工の目視による一般的な手法では1日数個しか特定できないため、膨大な時間を要することになる。

 東日本大震災で、小峰城(福島県白河市)の石垣が崩壊。昨年10月には、西日本豪雨や台風の影響で丸亀城(香川県丸亀市)の石垣が被害を受けた。地域の重要な観光資源として早期修復を求める声が上がり、富士通の担当者は「こうしたシステム活用の引き合いは強い」としている。

 富士通は修復事業について、国内外で城以外の文化財にも広げたい考えだ。ピラミッドなどでシステムを活用できる可能性があるという。