中小企業へのエール

経済連携協定 欧州に広がる活躍の場、熱く売り込め

 □旭川大学客員教授・増山壽一

 ついに日本と欧州連合(EU)との間で経済連携協定(EPA)が結ばれた。経済産業省時代、欧州課長として政府内外にEUとの連携の必要性を訴えかけ、協議にこぎ着けた責任者として感無量だ。

 日欧は地理的に離れているがゆえに常に良きパートナー。日本は明治以降、欧州各国から産業技術、法律、軍事技術、医学、音楽など多くを学んだ。欧州はいち早く、日本の繊細な文化、浮世絵や食文化などを評価し、世界に広めてくれている。

 戦後は一貫して自由と民主主義の理念を共有し、戦争なき公正な社会の構築にともに努力する関係を築いてきた。

 先月、ドイツのメルケル首相が3年ぶりに来日した。もともと中国市場の大きさと将来性に魅了され、日本をあまり重視してくれなかった政治家だ。しかし、ドイツの中小企業が大挙して中国に投資しても、合弁先に技術を盗用され、模造品を作られ、市場から追い出される経験をしたからか、ようやく日本の重要性が分かったのだろう。

 欧州企業は今、日本の中小企業との連携を望んでいる。まさにチャンスだ。模倣を許さない高品質のものづくりの必要性がますます高まり、日本の技術力と信頼性が求められている。

 どうすれば、きっかけがつかめるのか-。まず英語版のホームページを作る。単なる日本語の直訳にせず、外国企業が関心を持つキーワードを盛り込み、相手側の検索でヒットするように作り込む。

 肝心なのは中身だ。企業理念や顧客を大切にすることなどを前面に出す。大事なことは社長の人物や熱い思いを日本語で語り、翻訳をテロップにして動画で流す。目に留まりやすく、問い合わせの可能性が高まる。

 臆することはない。今は自動翻訳もある。問い合わせにはまずお礼を言う。そして先方の興味・関心があるなら、電話やメールでコンタクトし、関係が煮詰まったら来日してもらう。

 豪勢な食事などは用意しない。ビジネスは対等で、相手は技術力に着目しているからだ。

 EPAにより、日本の中小企業がますます欧州で活躍することを期待している。

 筆者の経験や考え方をまとめた「AI(愛)ある自頭を持つ!」を産経新聞出版から出版し、アマゾン、有名書店で販売中。是非感想などをお寄せください。(office@masuyama-toshikazu.com)

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【プロフィル】増山壽一

 ますやま・としかず 東大法卒。1985年通産省(現・経産省)入省。産業政策、エネルギー政策、通商政策、地域政策などのポストを経て、2012年北海道経産局長。14年中小企業基盤整備機構筆頭理事。17年4月から旭川大客員教授。日本経済を強くしなやかにする会代表。56歳。

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