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高齢者見守りで「脱下請け」 中小企業、技術活用で狙う 介護人材の不足解消効果も期待 (3/3ページ)

 ほとんどがセンサーなどハードウエアでの対応の同業他社に対し、IoT(モノのインターネット)などを活用したソフトウエアによる表現方法(人への伝え方)に一日の長があるという。お知らせのアイコン化、静止画から動画への移行、睡眠時の活動量のグラフ化など毎月のように新機能を追加。4月25日には非接触型バイタルセンサーを搭載予定で、脈拍や呼吸などのデータを収集し継続的に監視することで異常を知らせることができる。

 初の自社ブランド商品を手に入れた両社には共通の課題があった。エリントはキヤノン、アルコは日立製作所への売り上げ依存度が高く、受託会社ゆえに自社商品を創り出すことも苦手だった。松本氏は「(ハードウエアの)生産も販売も知らず、ゼロからのスタートだった」と振り返る。

 開放特許活用も

 そこでエリントは富士通と患者見守り技術に係る特許の実施許諾契約を結び、商品化にあたり元社員が創業したソフト開発会社を統合。アドバイザーも招き入れた。アルコも富士通の開放特許を活用し、ともに見守りセンサーで介護の現場などにアピールする。

 木田氏は「世界が高齢化に突き進んでおり、その問題解決に応える商品の需要はますます拡大する」と確信する。現状では全国で約80台が導入されているにすぎないが、今年は一気に500台の販売を狙う。

 松本氏も「介護現場は人手不足で大変。IT企業として培った技術を介護に生かし、楽にしてあげたい」という。その熱い思いがかなうまでそう遠くないだろう。(松岡健夫)

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