東芝、音声合成技術で事業創出 “分身”つくれるアプリ人気

音声合成が気軽に楽しめる東芝のアプリ
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 毎日の薬の時間を孫に教えてもらう。子供が好きなアニメキャラクターで絵本を読み聞かせる-。東芝は得意の音声合成技術を生かし、こうした需要に応える事業の創出を狙う。自分の声の“分身”を手軽につくれるアプリも人気を呼び、手応えをつかんでいる。

 カーナビや駅構内のアナウンスの音声を長年手掛けてきた技術を活用する。いくつかの例文を読み上げると、流暢(りゅうちょう)さや抑揚を分析。合成した音声は喜びや怒りの調整が可能で、例文数を増やすほど精度が上がる。

 東芝は本を朗読するオーディオブック、人工知能(AI)スピーカー、ゲームなどでの利用を視野に入れ、企業向けプラットフォーム「コエステーション」の提供を始めた。異業種の企業と連携し、手数料を得る仕組みを想定している。

 声優やタレントと契約して利用者が好みの声を選べるようにする。通常の会話には連続して出てこない表現を例文に指定し、テレビなどから音声を取り込んで勝手にタレントの声を合成するといった悪用を防ぐという。

 一方、東芝がスマートフォンなどの携帯端末向けに提供するアプリは無料。会員制交流サイト(SNS)で送った文章を、自分の声で話すように再生できる。病気などで失われる声をあらかじめ残しておくケースもあり、開始から約1年でダウンロード数が3万件を突破した。

 プロジェクトリーダーを務める東芝デジタルソリューションズの金子祐紀さんは「パスポートのように多くの人が『コエ』を登録する仕組みを築きたい」と話す。音声合成のサービスを定着させ、関連ビジネスの拡大に弾みをつけたい考えだ。