ゴーン容疑者「恣意的だ」 オマーン不正送金で4度目逮捕

カルロス・ゴーン容疑者が住む東京都内のマンションを出る東京地検の車両=4日午前
カルロス・ゴーン容疑者が住む東京都内のマンションを出る東京地検の車両=4日午前【拡大】

  • 日産の前会長ゴーン容疑者の再逮捕容疑

 日産自動車のカルロス・ゴーン前会長(65)が中東オマーンの販売代理店側に支出された日産の資金を流用し、約5億6300万円の損害を与えたとして、東京地検特捜部は4日、新たな会社法違反(特別背任)の疑いで、ゴーン容疑者を再逮捕した。ゴーン容疑者は最初の逮捕以降、108日間にわたって身柄拘束され、3月6日に保釈された。特捜部が手掛けた事件で、保釈後に再び逮捕されるのは異例。9月にも開かれる可能性があった初公判が遅れるのは必至だ。

 関係者によるとゴーン容疑者は容疑を否認。米在住の広報担当者を通じ「常軌を逸しており、恣意(しい)的だ」と抗議する声明を発表した。

 再逮捕容疑は2015年12月~18年7月、日産の子会社「中東日産」(アラブ首長国連邦)からオマーンの代理店に対し、計1500万ドル(約16億9800万円)を支出させた上、うち計500万ドルを自分が実質的に保有するレバノンの投資会社「Good Faith Investments(GFI)」名義の預金口座に送金させ、日産に損害を与えた疑い。特捜部は認否を明らかにしていない。

 関係者によると、オマーンの代理店には12年以降、日産の最高経営責任者(CEO)だったゴーン容疑者が使途を決めていた「CEO積立金」から、毎年数億円、計約35億円が奨励金名目で支払われていた。

 この代理店幹部の個人口座から、幹部自身が代表を務めるGFIを通じてゴーン容疑者の妻が代表の会社に資金が流れ、一部がクルーザー(約16億円)の購入代金に充てられた疑いも浮上していた。

 クルーザーは「社長号」と名付けられ、家族らが使っていた。GFIの資金の一部は、ゴーン容疑者の息子がCEOを務める米国の投資会社側に渡った疑いもある。

 ゴーン容疑者は、有価証券報告書に自分の役員報酬を少なく記載したとして、前代表取締役グレゴリー・ケリー被告(62)=保釈=とともに金融商品取引法違反容疑で2回逮捕された。さらに私的な投資の損失を日産に付け替えたなどとして、特別背任容疑で再逮捕され、今年1月11日までに全て起訴された。