次世代の全固体電池を本格量産、TDKなど (2/2ページ)

TDKが本格量産を始める全固体電池(TDK提供)
TDKが本格量産を始める全固体電池(TDK提供)【拡大】

  • TDKが全固体電池を製造するオーストリアの工場(TDK提供)

 一方、日立造船は、電解質に硫黄化合物系の無機材料を使ったシート状の電池を開発。今年度中の量産開始を目指しサンプルを供給している。

 自社で扱うプレス機械の技術を使い、粉末の電解質を押し固める技術を確立、生産工程の簡素化に成功した。「まず宇宙空間で使う機器など特殊用途向けに売りたい」と同社。将来的には自動車向けも見据える。

 民間調査会社の富士経済によると、2017年に21億円だった全固体電池の世界市場は、IoT(モノのインターネット)化や自動車の電動化を背景に、35年には2兆7877億円まで拡大する見通し。素材などの先端技術を持つ日本は開発で先行している。ただ、米国のベンチャーや電池分野で台頭する中国勢なども開発に力を入れており、主導権を維持できるか予断を許さない状況。技術的課題も多く、今後数年の取り組みが明暗を分けそうだ。