「十一の奈良漬」 残留農薬で廃業 回収に多額費用

 「十一の奈良漬」で知られる漬物メーカーの黒田食品(神戸市)が5日付で事業を停止したことが8日、代理人弁護士への取材で分かった。中国から輸入、販売した甘酢ラッキョウ製品から食品衛生法の基準値を上回る残留農薬を検出。商品回収が多額の費用がかかってできず、企業の信用を保てないと判断したとしている。

 帝国データバンクによると、黒田食品の負債額は約9億円。

 弁護士によると、対象商品は「十一の甘らっきょう」「十一の田舎らっきょう」など。今年3月に原材料の塩から基準を超える農薬イソプロカルプを検出したことが分かった。食べても直ちに健康への影響はなく、被害報告もないという。

 黒田食品は従業員約50人を解雇し、回収のめどは立っていない。同社は最盛期の1988年3月期に年約40億円の売上高があったが、食習慣の変化もあり昨年3月期は18億円程度まで落ち込んでいた。