国産サイバー技術 AI技術者取り込み連携強化を 猪俣敦夫・大阪大教授


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 情報セキュリティーが専門の猪俣敦夫・大阪大教授に、国産製品を世界に広げるための課題や方策を聞いた。

 --国内で使われるセキュリティー製品の多くが海外製だ。なぜ日本製は広がらないのか

 「どの製品も中身は『ブラックボックス』。性能を比べるのが難しいので、企業が選ぶ際には、シェアが大きい海外製品が有利になる。国産を売るためには、品質の高さを示せる基準づくりといったことが課題となるだろう」

 --日本の技術的な強みは

 「もともと強いのは暗号技術だ。三菱電機やNTTの技術者を中心に多くの成果を出しており、世界に誇れる。今後も日本が戦える分野であり、力を入れるべきだ。ただ暗号は要素技術なので、直接的にはお金になりにくい。製品やシステムになったとき、ほとんどが海外製という現実がある」

 --突破口はあるか

 「各国が力を入れているが、人工知能(AI)を使って未知のコンピューターウイルスを自動検知するといった技術開発に可能性がある。日本には優秀なAI技術者が多いからだ。ただセキュリティー業界がそうした技術者を十分に取り込めていない。もっとAI技術者と連携していく必要がある」

 --ほかに有望分野は

 「重要インフラの分野だ。鉄道や電力、ガス、水道などのインフラを動かす制御システムは日本が強い。今はこれらのシステムがネットワークにつながり、サイバー攻撃対策が求められるようになった。自然災害の経験も生かし、災害にもサイバー攻撃にも強いシステムをつくっていけば、世界に売れる技術になるだろう」

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【プロフィル】猪俣敦夫

 1973年埼玉県生まれ。奈良先端科学技術大学院大准教授、東京電機大教授などを経て2019年4月から現職。