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会計検査院、企業型保育事業に改善要求 多額の公金、実態ずさん

 会計検査院は23日、企業が国の助成を受けて運営する企業主導型保育所で定員割れなどが多発しているとして、事業を所管する内閣府に改善を求めた。利用率の低さが疑われる41都道府県の計213施設を抽出調査したところ、約3分の1に当たる72施設(27都道府県)で2017年10月~18年9月の平均利用割合が定員の50%未満だった。開設の遅れも目立った。

 主に従業員の子供を預かる企業主導型保育事業は待機児童対策の目玉として導入されたが、定員割れや突然の閉鎖など問題が相次ぎ発覚。制度拡大を急ぐ余り運営体制のチェックが及ばず、企業イメージ向上だけを目的にした見通しの甘い事業などが横行しているとの声がある。

 内閣府は昨年末、有識者検討会を設け制度見直しに向けた報告書をまとめているが、多額の公金を投じた事業のずさんな実態が検査院の調査で改めて浮き彫りになった。

 検査院は、助成金支給の実務を担う「児童育成協会」に対し、内閣府が利用定員の確認や利用者数向上の指導などを求めておらず、助成金審査が不十分だったことが原因と指摘した。16、17年度の2年間で全国2322施設に交付された施設整備に関する助成金は計約703億円。72施設でも31億6880万円に上る。

 検査院の調査によると、72施設の利用割合の内訳は40%以上~50%未満が16施設、30~40%は17施設、20~30%は12施設、10~20%は19施設。10%未満は8施設あった。

 72施設の他に9施設では、18年4月までに開設する計画で助成を受けたものの、建設工事を始めた後で設計不備が見つかるなどの理由で開設が間に合わなかった。うち6施設は調査した同10月時点でも開設できていなかった。

 検査院は中央省庁や国が出資する法人などの会計を検査する機関。213施設は実績などから利用率が低いと予想し、調査対象に選んだ。内閣府は「指摘を真摯に受け止める。有識者検討会の報告に沿った見直しとともに、必要な対応策を講じて改善を図りたい」と話している。

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