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海中微生物が分解、カネカの素材 ストロー、化粧品容器に

 プラスチックごみによる海洋汚染が深刻化するなか、化学メーカー大手、カネカが開発した海水中の微生物による分解が可能な素材を活用する企業が相次いでいる。セブン&アイ・ホールディングス(HD)は、飲料カップに付けるストローの材料に試験導入することを決めた。カネカは年内に素材の生産能力を増強させる予定で、工場設備への投資を進めていく。

 海を漂う微細なプラスチックごみ「マイクロプラスチック」は、海洋生物が飲み込んでしまうことで、生態系に悪影響を与える懸念が強まっている。

 カネカが開発した生分解性ポリマー「PHBH」は、100%植物由来のプラスチックで、30度の海水で6カ月以内に90%以上が水と二酸化炭素に分解されるのが特徴だ。素材が持つ機能が平成29年に国際的な認証機関に認められて評価が高まり、昨年から協業に関する問い合わせが相次いでいるという。

 今年秋にはセブンHDが、コンビニチェーン「セブン-イレブン」などで展開する「セブンカフェ」で、PHBHを使ったストローを提供するほか、別の製品での導入も検討している。資生堂は、自社が持つ化粧品容器のノウハウを生かして、カネカとPHBH由来の製品を共同開発することで合意した。

 世界的なプラスチックごみ削減の動きを受けて、カネカは昨年、25億円を投資して、高砂工業所(兵庫県高砂市)の製造設備を大型化し、PHBHの生産能力を現在の5倍となる年約5000トンに増やすことを決めた。生分解性プラスチックの世界需要が年100万トンを超えると予測される2022年までに、生産規模年2万トンの新たな製造設備の導入も検討している。

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