液晶パネル大手のジャパンディスプレイ(JDI)が15日に発表した平成31年3月期の連結決算は、最終損益が1094億円の赤字(前期は2472億円の赤字)で、5年連続の赤字となった。主力のスマートフォン用パネルの販売が落ち込んだ。同社は併せて、1000人規模の早期希望退職者を募集すると発表。固定費削減で黒字化を目指す構えだ。だが、米中貿易摩擦が激化すればスマホ向けの販売はさらに落ち込み、黒字化が再び遠のく可能性もある。
売上高は前期比11・3%減の6366億円、本業のもうけを示す営業損益は309億円の赤字(前期は617億円の赤字)だった。最大顧客である米アップルの「iPhone(アイフォーン)」向けなど、スマホ用パネル販売が減少。このため白山工場(石川県白山市)などについて752億円の特別損失を計上した。
希望退職者の募集など、人員削減は上期(4~9月期)中に実施し、年200億円の固定費削減を見込む。病気療養中の東入来信博会長(70)が15日付で会長を退き、会長職を当面空席とすることも発表した。
今期の業績予想は明らかにしなかったが、上期の売上高は前年同期比10%程度の減少になるとしている。同日の記者会見でJDIの月崎義幸社長(59)は「(31年3月期は)想定を超える市場変化があった」と謝罪。今期については「下期(10~3月期)以降の黒字定着を目指す」とした。
JDIの再建をめぐっては、4月12日に中国と台湾の企業連合の金融支援を受けて傘下入りすると発表したものの、相手側の機関決定が遅れている。このためJDIは、6月18日の定時株主総会で得る予定だった支援に関する議案承認を、その後開く臨時総会に先送りした。
中台連合の支援について月崎氏は「(協議は)順調に進んでいる」と強調。支援が実施されるまで官民ファンド、INCJ(旧産業革新機構)のつなぎ融資を受けられるため、当面の運転資金も問題ないとした。
しかし、米中貿易摩擦が激化する中、米国の追加関税が中国から輸出されるスマホに及ぶ可能性が高まっている。そうなればJDIの業績にも悪影響が及ぶのは必至で、中台連合が支援を覆す可能性も否定できない。