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まるで電池版エアバス構想 EV主導権狙う欧州 仏が仕掛ける野望 (1/3ページ)

 欧米自動車大手フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)との経営統合交渉や日産自動車との企業連合のあり方をめぐり、ルノーの筆頭株主として“影の主役”を演じるフランス政府。注目の合従連衡劇の舞台裏で、その仏政府が、自動車市場の競争図を塗り替えるもう一つの大仕掛けを進めている。その野望が実現すれば、韓国のある主要産業の地盤沈下を招きかねない。

 EU電池版エアバス構想

 仏政府の野望は、白紙となったルノーとFCAの交渉で、仏政府がFCAに突きつけた統合条件で、「次世代電池供給への参画」という項目に隠されていた。他の条件に比べると一見、末節にも映るが、実は極めて重要な意味を持っている。

 それを読み解くカギは5月初め、仏政府がドイツ政府と行った、電気自動車(EV)向け電池供給の仏独連合結成の共同会見にある。

 「欧州は技術の輸入に頼るわけにはいかない」

 ルメール仏経済・財務相は決意をこう語り、アルトマイヤー独経済相は「過去に例のないプロジェクトだ」と述べた。米国の独壇場だった旅客機市場に風穴を開けるべく、仏独主導で設立した航空機大手に例えて「EV電池のエアバス」ともいわれる産業育成の連帯で、欧州連合(EU)の欧州委員会も後押しする一大プロジェクトとなる。

 車載電池は、現在の車のエンジンに当たる。車両の製造原価の約3割を占めるとされ、一回の充電で走行できる距離などEVの競争力の生命線ともいえる。

 だが、現状は最大手の中国・寧徳時代新能源科技(CATL)、パナソニック、中国・BYD、韓国のLG化学とサムスンSDIといったアジア勢が車載電池の市場シェアの過半を占め、欧州勢のシェアは3%程度にとどまるという。

 仏独のEV電池版エアバス構想には、この市場の構図を打破し、欧州自動車大手がEV開発で自ら主導権を握り、アジアの電池各社への依存度を低下させる狙いがある。

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