経済インサイド

東京五輪の報道カメラ、白黒対決に“シマウマ”参入か (2/2ページ)

 ミラーレス一眼は、反射鏡が不要のため小型・軽量化できることに加え、シャッター音がないのも特長。スポーツ撮影の分野ではゴルフで大きな力を発揮している。マナーに厳しいゴルフの試合ではアドレスからインパクトの瞬間まで音を出してはならず、シャッター音のする通常のカメラ撮影はできなかった。一方、シャッター音のしないミラーレス一眼は撮影が認められており、多くのゴルフ大会でソニーの「αシリーズ」が使用されているという。他のスポーツでも緊張感が削がれるシャッター音を排除する動きが広がればミラーレス一眼の導入が一気に広がる可能性もある。

 ソニーは今年6月12日、プロ向けのスポーツ撮影に適した焦点距離600ミリの大口径超望遠レンズを発売すると発表。来年の東京五輪・パラリンピックでの使用を視野に入れたもので、「同型種では世界最軽量」とアピールしている。東京五輪・パラリンピックでは修理や調整などを行うプロカメラマン向けのブースも開設する方向だ。

 受けて立つ形の“二大巨頭”も黙ってはいない。両社とも五輪に向けた新商品を発表していないが、東京五輪・パラリンピックでゴールドパートナーとして協賛するキヤノンは、メーンプレスセンターに最大規模のブースを設置するなど各国から訪れるプロカメラマンを強力にサポート。ニコンも「従来提供してきたサポートを提供すべく、現在、組織委員会と調整中」(広報部)としている。

 五輪は取材パスの数が限られており、「報道各社と付き合いの長いキヤノン、ニコンのカメラが優先される」(元五輪カメラマン)という事情もある。五輪のカメラ対決がソニーも加わった“三つどもえ”となるにはまだ早そうだが、東京五輪・パラリンピックがその足がかりとなる大会になるのか注目したい。(桑原雄尚)

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