黒字でも金融機関の負債が過剰な企業は多い。努力して営業利益を年間1000万円出していても、金融機関の負債が5億円あれば、完済には60~70年かかる。元本返済猶予(リスケジュール)を繰り返して、当面は事業を続けている企業もある。(堂野法律事務所 所長弁護士・堂野達之)
しかし、「まだやれる」と思っている社長も、いつかは誰かに事業を引き継ぐ。その時に過剰な負債や連帯保証債務が事業承継の足かせとなることは明らかだ。どこかの段階で、過剰な負債の処理、つまり「債務の一部免除の申し入れ」を真剣に考えなければならない。
まず押さえてほしいのは、利益が継続的に出ていれば、手順を踏み、負債を適正な額(例えば15年程度で完済できる額)まで圧縮して事業を続けられることだ。第三者機関が金融機関との協議に関与する準則型私的整理手続きが整備されているし、連帯保証債務は「経営者保証に関するガイドライン」で一定の資産を残して免除を受ける道がある。後継者が不在でも、M&A(企業の合併・買収)という選択肢がある。
そこで不可欠なのは、利益を確実に出して資金繰りを回すことだ。一つの目安として「税引き後営業利益+減価償却費-設備投資額」が最低でも約定金利による返済額を上回ることが求められる。それは、債務返済の原資を確保するための前提条件となるだけでなく、重大な経営判断や事業承継の準備をするための時間的余裕を確保する上でも重要だ。黒字で資金繰りが安定していれば、時間をかけて後継者育成に取り組んだり、会社の価値をじっくり磨き上げたり、足元を見られずにM&Aの条件交渉に臨むことが可能となる。