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HIS、世界1000軒構想に「壁」 ユニゾとの提携、敵対的TOBに発展も (1/2ページ)

 格安の海外旅行を日本人に広めたことで知られるエイチ・アイ・エス(HIS)の沢田秀雄会長兼社長が、「ホテルを世界に1000軒」建設する構想をぶち上げた。ただ、国内100軒のために踏み切った、ホテル・不動産業のユニゾホールディングス(東証1部上場、ユニゾ)へのTOB(株式公開買い付け)は、敵対的TOBに発展する公算となり、思わぬ誤算となっている。

 「3年以内に国内100軒。その次は世界で1000軒構想がある」。HISが今月10日に開いたユニゾへのTOB実施を表明する記者会見で、沢田氏はこう述べて、ホテル事業を次の事業の柱にする考えを強調した。

 次の柱にホテル事業

 HISといえば、ロボットがフロントで客を出迎える「変なホテル」を世に送り出した。最寄り駅から徒歩5分圏内という好立地や、人件費を削減した新たなビジネスモデルを武器に全国で展開している。ユニゾとの提携をてこに海外進出を本格化させる構えだ。

 HISの資料や国内ホテルチェーン各社のホームページなどによると、国内のホテル軒数首位はアパホテルの500軒超で、ルートインホテルズ、東横インと続く。「ユニゾの不動産情報ネットワークや建設管理のノウハウを活用して不動産事業を拡大することで、国内100軒構想が視野に入る」(HISの中谷茂取締役)

 HISがユニゾを重視した理由がこの不動産情報ネットワークで、中谷氏は「(HISは)用地の仕入れや活用の仕方など、どうコストを考えるのかはまだ経験が浅い。(ユニゾは)不動産マネジメントや建設のノウハウをお持ちだ」と説明した。

 沢田氏はHISが旅行商品で時期などに応じて料金を上げ下げして利益の最大化を目指す、イールドコントロールのノウハウをホテル運営にも応用する考え。「うちのイールドコントロールをホテル運営に足すと、両社がお互いにより良くなると信じているので、思い切ってTOBを取らせていただいた」と述べた。HISの旅行者をユニゾのホテルに送客することで稼働率上昇が見込める、といったメリットも強調した。

 また、ユニゾの株価が会見した10日時点では割安なこともTOBの理由とみられる。ユニゾの株価純資産倍率(PBR)は0.7倍で、割安とされる目安の1倍を割り込んでいる。

 一方、ユニゾ側はこうしたHISの熱意には冷淡だったという。HISは2014年ごろからホテルと不動産事業拡大のためにM&A(企業の合併・買収)や資本業務提携を強化する相手を模索。昨年9月ごろにはユニゾをベストパートナーと考え、業務提携を打診したが進展しなかった。

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