日産自動車は25日、令和元(2019)年4~6月期連結決算を発表する。本業のもうけを示す営業利益は前年同期の1割程度に相当する数十億円と厳しい水準になったもようだ。カルロス・ゴーン被告の事件を受け先月、本格的な経営刷新に踏み切って以来初めての決算会見となり、西川(さいかわ)広人社長が世界で1万人超の人員削減を含む構造改革も説明する見通し。業績悪化に歯止めをかける具体策を打ち出せるか問われる。
「単純なリストラではない。ジャンプするためいったん縮むことが必要だ」。日産の社外取締役を務める永井素夫氏は24日、産経新聞などの取材に答えた。具体的な内容への言及は避けつつ、リストラは業績回復のために不可欠な構造改革だとの思いをにじませた。
大規模な人員削減は、業績悪化を受けて5月に掲げた「余剰生産能力の10%縮小」などを実現するため。この時、「第1弾」として4800人の人員削減方針を示した。まずは利益率の深刻な悪化に見舞われた北米市場の建て直しを優先。販売費用を抑制した上で米国とメキシコでは既に生産調整を実施している。欧州でも高級車ブランド「インフィニティ」の一部撤退、英国やスペインの工場での生産削減などを行う。
だが、10%縮小にはこれでは足りず、世界で約13万9千人の従業員を抱える日産は、1割近くに相当する人員削減を打ち出す。対象は競争力の低い海外の工場が中心とみられる。
日産は約1カ月前の定時株主総会で指名委員会等設置会社に移行。指名委員会の豊田正和委員長(社外取締役)は24日、指名委を同日開催し、西川氏の後継者選定の議論に着手したことを明らかにした。
また、25日の取締役会では、筆頭株主のルノーと利益相反する議案を取締役会で決議する場合、ルノー出身取締役を不参加とする規定を導入するなど、コーポレートガバナンス(企業統治)改革は着々と進む。だが、新経営陣の真価が問われるのは、業績回復に道筋をつけられるかどうか。25日に打ち出す構造改革は、その試金石となりそうだ。