高論卓説

森林浴に見る地方の可能性 健康効果で誘客、創出される産業・雇用 (2/2ページ)

 第3に、森に注目が集まることは、都会に集約する財の地方分散に寄与する。アクティブ・シニアが森林ガイドをしたり、全国に64ある森林セラピー基地やそれに準じる施設が広がったりすると、地方での産業や雇用の創出にもつながり、森による地域活性が具体化する。

 このように、日本発の森林浴の可能性は多様で大きい。このことは、日本の未来にとって重要な戦略への示唆を与えてくれる。それは、他の国にない日本の素晴らしさを大切にすることこそが、日本が向かうべき方向だということだ。

 日本には、世界に誇るべきものがたくさんある。それらの多くは日本が自然と共生することで培ってきた知恵の結晶が多い。森もそうであるが、自然の豊かさと恩恵、類を見ない木や紙の自然素材の建造物、自然が育んだ食文化、自然を恐れて折り合いをつけていく賢さ、さらには、唯一無二で各地に散らばる伝統文化や伝統技術などだ。

 それら誇るべきものの多くは地方にある。地方こそ、日本の宝と言える。この宝を今、全力で強みに変えていかなければ、日本の未来はあり得ない。

【プロフィル】吉田就彦

 よしだ・なりひこ ヒットコンテンツ研究所社長。1979年ポニーキャニオン入社。音楽、映像などの制作、宣伝業務に20年間従事する。同社での最後の仕事は、国民的大ヒットとなった「だんご3兄弟」。退職後、ネットベンチャーの経営を経て、現在はデジタル事業戦略コンサルティングを行っている傍ら、ASEANにHEROビジネスを展開中。富山県出身。

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus