高論卓説

韓国への輸出管理強化 高まる中国依存、技術移転の結果か (2/2ページ)

 中国・華為技術(ファーウェイ)への規制もこの輸出管理厳格化の一部であり、年内をめどに「中国製造2025」とほぼ重複する14分野にこれを拡大する予定である。あくまでも米国の輸出管理は米国技術が25%(テロリスト向けは10%)以上含まれるものだけに限られるが、米国は同盟国に対して、貿易協議などを通じ同調を求めており、当然、日本や日本企業もその対象になっている。

 つまり、米国が輸出規制をした品目や技術が米国原産技術を含まない日本のものであっても輸出を規制してほしいとしているわけだ。ある意味、今回の韓国への輸出管理強化は、米国が新たに始めようとしている新輸出管理と連動したものであり、中国への依存度を高めるとともに技術移転を積極的に進める韓国に対する危機管理の強化ともいえるのである。いくら日米が輸出管理を厳格化しても、韓国を通じてそれが流出してしまえば意味がないのである。

 現在、米中貿易戦争の激化を受けて、世界中の企業が国際的な供給網(グローバルサプライチェーン)の再構築を始めている。韓国がホワイト国から外れた場合、このサプライチェーンから外れることは必須であり、いったん外れると、韓国は数十年という時を失うことになるだろう。米国を選ぶのか、中国を選ぶのか。選ばなかったものの末路といってもよいのかもしれない。

【プロフィル】渡辺哲也

 わたなべ・てつや 経済評論家。日大法卒。貿易会社に勤務した後、独立。複数の企業運営などに携わる。著書は『突き破る日本経済』など多数。愛知県出身。

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