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「仮想発電所」が拡大 次世代システムへの投資広がる (1/2ページ)

 点在する蓄電池や太陽光パネルなどの小規模電源を束ねて1つの発電所のように機能させる「仮想発電所(VPP)」の取り組みが拡大している。政府の実証事業にはエネルギー企業以外も参加し、コンビニエンスストアや自動販売機までネットワークの裾野が広がっている。今後の再生可能エネルギーの普及拡大を見据え、次世代システムへの投資が熱を帯びてきた。

 兵庫県尼崎市にある関西電力技術研究所。建屋内の植物工場では、照明などで育てられたレタスが青々とした葉をつける。栽培条件の最適化について関電が研究を進めてきたが最近、照明の強さや時間帯が生育にどう影響するかの実証実験を始めた。電力消費量の多い植物工場が稼働のピークをずらせれば、ピーク時に減らした電気は「電源」とみなせるとみて、ノウハウの構築を図る狙いだ。

 VPPは家庭用の太陽光パネルや蓄電池、電気自動車(EV)といった小規模電源を、モノのインターネット(IoT)などの技術で統合制御する。個々の発電量は小さいが、集まれば発電所のように機能する。電源を持たない店舗や工場などを束ねて一斉に節電させ、余剰電力をひねり出す手法もあり、新たな電源として関心を集めている。

 広がりの背景には再生可能エネルギーの利用拡大がある。政府は現状16%にとどまる電源の再エネ比率を令和12(2030)年までに22~24%まで増やす計画だが、再エネは天候などで発電量が定まらない。火力発電を調整電源に使うと設備利用率が落ちて投資資金を回収できない可能性があり、政府は次世代の調整電源として平成28年度からVPP実証事業を支援している。

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