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メルカリ、鹿島の経営権を取得 スポーツチーム経営はIT時代

 フリーマーケットアプリ大手「メルカリ」が7月30日、サッカーJ1鹿島アントラーズの経営権を取得すると発表した。運営会社の株式の約60%を日本製鉄などから買い取り、名門クラブの経営に乗り出す。鹿島に限らず、サッカーのクラブやプロ野球球団の経営権がIT企業など新興企業に移るケースが相次いでおり、産業構造の転換など「時代」を象徴した流れともいえそうだ。

 メルカリが株式を保有していた日本製鉄側に支払う額は約16億円。全株式のうち61・6%を入手し、8月30日に経営権が移る予定だ。「さらに強い常勝軍団として、グローバルでナンバーワンのクラブにする」。メルカリの小泉文明社長はこう意欲を見せた。

 メルカリが持つ優位性は消費者向けのビジネスに知見を持つこと。日本製鉄は企業同士の取引が専門だが、メルカリには顧客に向き合うノウハウがあり、小泉社長はスタジアム内のキャッシュレス化というIT技術を生かしたサービス向上案を披露するなど「ビジネスで成長し、資金を獲得し、強くするという循環を強めたい」。

 鹿島の昨年度の営業収入は73億3千万円で、J1では神戸、浦和に続き3位だが、目指す100億円には届いていない。ファン層拡大や経営基盤強化に向けてメルカリ効果が期待されるところだ。また、メルカリにとってもリーグ最多の優勝8度を誇る鹿島ブランドは魅力。小泉社長は「伝統あるブランドとともにメルカリのブランド力も引き上げたい」と説明する。

 サッカー界ではほかにも、楽天が、川崎製鉄(現JFEスチール)サッカー部を母体にするヴィッセル神戸を運営。2018年にはサイバーエージェントがFC町田ゼルビアの経営権を取得した。プロ野球界でもソフトバンクや楽天、DeNAが球団経営に乗り出して久しい。

 横浜DeNAベイスターズでは「横浜スポーツタウン構想」を掲げ、横浜市とも連携してさまざまな施策を展開し、にぎわいを創出。18年シーズンには球団史上初めて、観客動員数が200万人を突破した。顧客ニーズをいかに的確に捉えていくか、スポーツ界も「BtoC(消費者)」ビジネスがより重要になっている。

 Jリーグではさらに、17年から動画配信サービスDAZNを運営する英パフォーム・グループと巨額の放送権契約を締結したことを契機に、競争が激しくなっていた。日本製鉄の津加宏執行役員は「今やJリーグは共存から競争に変わった」と指摘。鹿島のジーコ・テクニカルディレクターも「寂しさはあるが、クラブを活性化できる」と歓迎しているという。Jリーグ屈指の名門クラブもまた時代の変化への対応を求められていた。(五十嵐一)

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