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消費増税のポイント還元対象狙い? 小売業「中小企業化」相次ぐ

 スーパーなどの小売業で資本金を5000万円以下に減らし、法律上「中小企業」になる動きが広がっていることが分かった。帝国データバンクによると、今年1~7月に減資したのは412社に達し、前年同期の252社から6割以上増えた。この全てが中小に「格下げ」したわけではないが、10月の消費税増税に伴うポイント還元事業の実施店が中小企業に限られており、対象に滑り込む狙いがあるようだ。

 減資は地場の中堅企業に目立つという。一般的に信用力と関わる資本金の減額は、好ましい経営戦略とは言いにくい。政府の景気対策で販売合戦の激化が見込まれることが、背に腹は代えられない事情を生んでいる。

 政府は10月から、中小店舗でキャッシュレス決済をした人に、国費で原則5%分のポイントを提供する。中小企業基本法に沿い、小売業は「資本金5000万円以下または常時雇用の従業員50人以下」が対象で、参加すれば集客上有利になる。

 消費税の軽減税率に対応したレジ導入などの補助金も要件は同じで、最近5000万円に減資した関東地方のスーパーは「直接的なメリットが大きく、信用面のデメリットはほぼない」と明かす。資本金をほぼ半分の5000万円にした四国のスーパーも利点を考えたというが「(還元対象外の)大手も対抗策を取るだろうから競争は厳しくなる」と漏らした。

 ニッセイ基礎研究所の福本勇樹主任研究員は「顧客離れを防ぎたい企業にとっては自然な動きだ」としながらも「政府の政策が競争条件をゆがめてしまった結果」と指摘している。

 ポイント還元終了後に再び増資するなど制度の隙間を突く意図が露骨な場合、経済産業省は申請時にさかのぼって登録対象から外すこともあると説明。それ以外は「資本政策は企業の自由」として問題としない方向だ。

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