プロジェクト最前線

精神論はもう古い IoTで野球技術磨く KDDIとアクロディア (1/3ページ)

 全国の野球愛好家たちに朗報だ。精神論や経験論が幅を利かせているスポーツ選手の育成において、特別な設備や指導者がいない環境でも、データを軸にした練習やけがの予防ができるサービスが登場した。

 ボールにセンサー内蔵

 IT企業のアクロディア(東京)とKDDI(au)は、センサーを内蔵したボールから速度や回転数などのデータを取得し、選手の技術向上を支援するモノのインターネット(IoT)のプラットフォームサービス「athle:tech(アスリーテック)」を7月から開始した。

 アクロディアが2017年12月から販売しているセンサー内蔵硬式球「Technical Pitch(テクニカルピッチ)」と連動。計測データをクラウド上に蓄積し、全国ランキングを表示する。テクニカルピッチの購入者は無料で利用できる。

 テクニカルピッチは中核部に3軸加速度センサー、3軸磁気センサー、3軸角速度センサーを内蔵し、Bluetooth通信機能でスマートフォンにデータを送信する。回転数や回転軸などのデータを蓄積し、データに基づく最適なトレーニングや体調管理につなげる。

 計測データは、表やグラフで統計的に可視化され、スマホやパソコンなどで閲覧できる。計測データの全国ランキングや、元プロ選手によるアドバイスなどの情報を提供。人工知能(AI)によるけがや体調不調の予兆検知などで、選手の技術向上を手助けする。

 スマホのカメラを起動して映像を撮影することもでき、データと投球フォーム映像も簡単に比較できる。今後はKDDIの技術を活用し、骨格の動きを検出して映像に合わせて表示するなどの機能を拡充し、選手がより直感的に自分の動きを把握しやすいようにする。第5世代(5G)移動通信システムの実用化でより高精細な映像を通信できるようになれば、データの解析精度を飛躍的に高めることもできるという。

 アクロディアソリューション事業部の伊藤剛志シニアマネージャーは「国内人口が圧倒的に多いという理由もあるが、何より、自分が野球のボールを作りたかった」と振り返る。

 野球の硬式球と同じ素材を使用しており、大きさと重さも同じと、“本物”にこだわった。

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