金融

あおり運転「保険で備えを」 損保各社、不安解消へ新サービス投入

 あおり運転が社会問題化する中、損害保険各社がドライブレコーダー(ドラレコ)を貸与する自動車保険の特約にあおり運転に備えた機能を追加するなど対策を強化する動きが広がっている。運転車の不安に対応したサービスで保険利用拡大を図るとともに、あおり運転被害削減に向け保険で支援する狙いだ。

 大手損保各社は自動車保険の契約者向けに特約保険料(月額650~850円)を支払えば、通信機能のあるドラレコを貸し出し、安全運転を支援するサービスを始めている。東京海上日動火災保険は10月から、この特約にあおり運転に備えた機能を加える。

 あおり運転に遭遇した場合、運転手は同社から貸与されたドラレコのボタンを押すと、警備会社のオペレーターが映像と衛星利用測位システム(GPS)などで場所や状況を瞬時に把握。運転手に「ドアをロックして車外に出ないでください」といったアドバイスを行う。被害が深刻なときは警察に通報してもらうこともできる。

 あおり運転対策をめぐっては、損害保険ジャパン日本興亜が8月から、あおり運転トラブルに巻き込まれた際に警察への通報を円滑に行えるよう、ドラレコの映像や位置情報を契約者の家族のスマートフォンに送信するサービスを開始。三井住友海上火災保険とあいおいニッセイ同和損害保険は5月に、車間距離を詰めてくる後続車を撮影できる機能を新たに追加した。

 あおり運転対策は自動車メーカーでも取り入れる動きが活発化しており、日産が3月に発売した軽自動車「デイズ」のオプション機能には緊急時の自動通報システムが搭載された。トヨタ自動車などの多くの車種で緊急通報システム「ヘルプネット」が利用できるようになっている。(西村利也)

【用語解説】ドライブレコーダー

 走行中や停車中の車内外の映像や音声を記録する車載装置。フロントガラスの上部に取り付けるタイプが多い。タクシーや路線バスなどで使われ始め、あおり運転の被害増加を背景に、自家用車に搭載する人が増えている。事故の際の映像を警察や保険会社が証拠や資料として採用することもある。

 ■損保各社のドラレコ特約のあおり運転対策

  (利用料金(月額)/あおり運転対策)

 ・東京海上日動

  650円/ドラレコから警備会社に被害状況を報告、警察への通報も

 ・損保ジャパン日本興亜

  850円/ドラレコで撮影した映像や位置情報を家族のスマホに送信

 ・三井住友海上

  850円/車間距離を詰めてくる後続車両を撮影

 ・あいおいニッセイ同和

  850円/車間距離を詰めてくる後続車両を撮影

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