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テレワーク活用まだ少数派 災害時「交通まひでも出社」主流

 9日に首都圏を直撃した台風15号の影響で電車の運休や遅延が相次いで発生、駅は足止めを食らった通勤客らであふれかえった。働き方改革の一環として、自宅などで働く「テレワーク」が奨励され、今回も社員に活用を呼び掛けた企業もあったが、災害時には十分生かされていないのが実情だ。専門家からは「企業は柔軟な対応を」との指摘が出ている。

 横浜市に住む損害保険会社の男性役員(66)は9日午前10時すぎに家を出たが、混雑に巻き込まれ、昼すぎになってやっと東京・新橋の会社に到着した。「客からの問い合わせもあり、誰かが出社しないといけない。会社に行かないと部下にも示しがつかない」と出勤した理由を説明する。

 建設会社に勤務する東京都江戸川区の男性会社員(38)も、担当する現場の台風被害を確認するため出社。「休むという選択肢はなかった」と強調した。

 JR東日本は台風通過後の点検作業が必要だとして、9日の始発から「計画運休」を実施。運休や部分運休、大幅な遅延が発生、270万人以上に影響が出た。私鉄や地下鉄でも運休する路線があり、首都圏の交通網が広い範囲でまひした。

 台風直撃などの際、交通機関がストップし駅やバス停が通勤客らでごった返すのはおなじみの風景だ。一方で、ITの進展により職場以外で働くテレワークが可能な仕事は増えている。働き方改革を進める政府や、2020年の東京五輪・パラリンピック開催時の交通混雑を緩和したい東京都が推進に向けて取り組んでいる。

 安全確保のため、災害時にテレワークを社員に促す企業も出てきている。NTTドコモは台風直撃前の6日、関東甲信越の支店やグループ会社の従業員計約4万人に対し、安全確保を優先しテレワークを活用するよう周知した。

 ただ、NTTドコモのような会社はまだ少数派だ。総務省の通信利用動向調査によると、昨年時点でテレワークを導入済みだった企業は全体の19.1%にとどまる。

 日本労働弁護団常任幹事の笠置裕亮弁護士は「大災害が予想される中で出社する社員が事故に巻き込まれれば、企業の責任が問われることもある」と話す。気象庁が事前に厳重警戒を呼び掛けたのに対応を取らなかった企業の姿勢には問題があると指摘。「制度がなくても自宅勤務で対応するなど、企業は柔軟に考える必要がある」とした。

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