19世紀末に日本初の海員養成学校が設立された瀬戸内海の粟島(香川県三豊市)で、気候変動や海洋調査研究に取り組むフランスの財団の日本事務局と三豊市が、環境保全や離島振興を目的とした連携協定を締結した。養成学校の校舎跡を利用した「粟島海洋記念館」で、子供らが海洋環境を学ぶ場を設けることなどを検討している。
市によると、財団の科学探査船「タラ号」は2003年から各国の科学者を乗せて世界中の海でプラスチックごみの問題などを調査。昨年は三豊市の仁尾マリーナに寄港した。財団の日本事務局「TARA JAPAN」は粟島の歴史や、生ごみとプラスチックの混在ごみを発酵、乾燥させて再利用する三豊市の先進的な取り組みに着目。協定を結ぶことになった。
記念館でタラ号の活動記録を写真とともに展示し、財団の日本事務局の活動拠点を提供。海洋環境を学ぶワークショップを開催することなどを検討している。
締結式に参加した財団日本事務局のエチエンヌ・ブルゴワ代表理事は「足元から起こす行動が世界的な問題の解決につながる。学んだことを共有することが私たちの使命」と話した。山下昭史市長は「海洋汚染は深刻。次世代を担う子供たちが学べる拠点にしたい。高齢化が進む島の活性化にもつながれば」と述べた。