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「走る蓄電池」が被災地で活躍。自動車各社がEV貸与

 台風15号による広域停電が長期化している千葉県で、電動車が「走る蓄電池」として活躍している。これまでに自動車各社は85台以上を派遣した。電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHV)、燃料電池車(FCV)に搭載している大容量電池が「非常用電源」となり、洗濯機や冷蔵庫、電子レンジといった家電に電気を供給したり、住民のスマートフォンの充電に使われたりしている。電動車の普及が進めば、災害時の支援効果がさらに大きくなると期待されている。

 日産は同社のEV「リーフ」を東京電力ホールディングスに39台貸し出し、東電がこれを被災地に派遣。日産はこのほかにも、被災自治体にリーフ14台を直接、派遣した。本社の広報車や販売店の試乗車、カーシェアリングサービスに使われている車両などを集めた。木更津市や市原市、君津市、香取市の公民館や老人ホームで支援を実施した。

 リーフの電池容量は40~62キロワット時で、一般家庭なら2~4日分の電気を供給することが可能という。日産は自治体や企業と「災害時における次世代自動車からの電力供給の協力に関する協定」を次々に締結。20日には、EVなどの環境車の普及を促進する東京都の事業に採択されたとして、同社のカーシェアリングサービスで使える都内のリーフを従来の約4倍の61台に増やすと公表。これらの車両は、都内で災害が起きたときに活躍するという。

 トヨタ自動車は「プリウスPHV」9台、水素を燃料として走行するFCV「ミライ」10台、燃料電池バス1台の計20台を派遣した。三菱自動車はPHV「アウトランダーPHEV」12台を千葉県内の福祉施設などに派遣し、支援活動を行った。

 また、幅広い製品群を手がけるホンダは11~18日、千葉市や市原市、木更津市の老人ホームや公民館に、可搬型外部給電器を貸し出した。これは、電動車から電気を取り出して家電などに供給することを想定してつくられた給電器で、冷蔵庫やエアコンなどに使用したという。

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