鮮やかな緑色の葉をつけ、早くから幹が古木のような味わいになる「赤石五葉松」の盆栽の輸出を拡大しようと、愛媛県四国中央市の業者が奮闘している。「世界的なブランド」を目指して地域の業者を巻き込み、輸出のための組合を設立。海外バイヤーへの浸透を図り、2022年には年間約1000鉢、売り上げ3000万円超えを狙う。
赤石五葉松は県東部の東赤石山(1706メートル)に自生している。盆栽に適しており、気品あるたたずまいから“盆栽の女王”と呼ばれる。
盆栽の栽培や販売を手掛ける農業生産法人「赤石の泉」の森高準一会長(60)は約10年前から、欧州の富裕層をターゲットにしようと検疫対策を進め、現地のバイヤーと情報交換してきた。17年からフランスへの輸出を開始。この年は約200鉢、売り上げは約300万円という規模だった。
地域として輸出していこうと、地元の12業者が参加する任意団体「赤石五葉松輸出振興組合」を今年8月につくった。赤石の泉が加盟業者から盆栽を買い付け、一括してコンテナ輸出する仕組みを構築。来年1月ごろに運用を始める見込みだ。
森高さんは小学生の頃、盆栽を求めて数多くの外国人バイヤーが地元を訪れていたことを覚えている。それから約50年。高齢化などから業者は減り、かつてのにぎわいはない。「バイヤーを待っていては話にならない」と危機感を募らせ、輸出促進の旗振り役として動いてきた。「欧州の盆栽を見る目は正しく、品質を正当に評価してくれる。赤石五葉松を世界的なブランドにして地元を再生したい」と意気込んだ。