台湾人観光客を東北地方へ呼び込もうと、観光会社「VISIT東北」(宮城県丸森町)と旅行会社「エイチ・アイ・エス台湾」、台湾最大のPR会社「エリートPRグループ」の3社は25日、業務提携を締結した。観光と合わせ、企業の海外進出や地方創生事業でも東北地方と台湾の双方向で展開していく。
3社は今後、連携して旅行商品の企画・提供を行うが、会員制交流サイトのSNSで多くのファンを持つ台湾のインフルエンサー(影響力のある人)に旅行商品の企画を依頼し、それをもとに東北の自治体や宿泊施設向けのPR戦略を策定。実際の旅行の手配までを一括して行うパッケージとなっている。
ここ数年、訪日台湾人の旅行スタイルは団体から個人へと移行しており、観光庁によると、個人旅行客の割合は平成26年から30年で22%も増加。また、82・4%が2回以上訪れるなどリピーターも多い。その主な情報源はブログやSNSだという。
VISIT東北の斎藤睦さんは「インフルエンサーは商品ニーズを理解しているので、消費者の意見を反映しやすい」と説明。台湾では2019年を「地方創生元年」と位置づけていることに触れ、「東北で培った創生のノウハウを台湾の方にも伝えたい」と意気込んだ。
締結式には、台湾で人気の旅行ブロガー、ケン・ワーカーさんが出席。会津若松駅(福島県会津若松市)と小出駅(新潟県魚沼市)を結び「秘境路線」として知られるJR只見線が急速に人気が高まっていることを挙げ、「突然どこかに台湾の人が現れるのは、インフルエンサーが写真を撮ってコミュニティーで拡散するから。40代未満はSNSで情報収集する人がほとんどだ」と解説した。
エリートPRグループの陳黎恂(チェン・リシュン)さんは、東北地方への観光客誘致にはブランディングが欠かせないと指摘。「コンセプト作りと、台湾人のニーズに応えるスピード感が必要だと思う」と強調した。