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トヨタ中核に国内メーカー結集 各社の強みどう生かす

 SUBARU(スバル)を持ち分法適用会社にするトヨタ自動車は先月、スズキとの資本提携を発表したばかりで、トヨタが業界再編の中核となり、国内メーカーを“結集”する構図が鮮明になった。次世代技術開発の巨額投資を分担するほか、魅力的な新商品開発につなげる狙いがある。各社の強みを持ち寄って協業の効果を最大化できるか、“トヨタ流”グループ戦略の真価が問われそうだ。

 「協業を深めるためには、お互いの殻を破っていく必要があった」。平成17年に合意して以来、業務提携してきた両社が資本関係を一段と強化する決断に至った背景について、スバルの中村知美社長は27日、産経新聞などの取材に対し、こう強調した。

 トヨタの豊田章男社長は27日に公表したコメントで、スバルの「すばらしいAWD(全輪駆動)技術」などを高く評価。連結販売台数でみるとトヨタの約10分の1に過ぎないスバルだが、水平対向エンジンによる低重心で安定した走行性能などで、「スバリスト」と言われる熱烈なファンを抱える。内燃機関に注力するマツダや、軽自動車などの小型車に強く成長市場のインドでシェア首位を誇るスズキなど、トヨタが資本提携する自動車会社は際立った独自性を持つ。

 トヨタと、完全子会社のダイハツ工業を含めると、国内乗用車メーカー8社中5社がトヨタのグループといえる。資本提携する各社は既に電気自動車(EV)の基幹技術を開発する会社や、新しい移動サービスの展開を視野にトヨタがソフトバンクと設立した合弁会社に参画している。

 「従来のような資本の論理で傘下に収めるという考え方では、本当の意味での仲間はつくれない」。豊田氏が5月の決算会見でこう述べたように、トヨタに提携先の企業を“支配”する意図はないとみられる。27日の声明にも「両社のブランドの独自性を尊重」と、スバルに配慮したとみられる表現を盛り込んだ。

 もっとも、次世代技術をめぐる競争は、「海図なく、前例のない戦い」(豊田氏)で先が見えない。それぞれの思惑を持つ各社と乗り合わせた“巨艦”の方向付けが難題になりそうだ。(高橋寛次、今村義丈)

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