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楽天携帯、公約破りも強気 値下げ空振りに政府いらだち (1/2ページ)

 楽天が今月から自前の通信網を活用した携帯電話サービスを開始した。もっとも、当初半年間は利用者を約5000人に絞った試験的な無料サービスにとどまり、誰でも契約できる本格的なサービスを始めるのは来春に遅れる見通しだ。事業計画が遅れても三木谷浩史会長兼社長は強気な姿勢を貫くが、大手3社の寡占市場を崩すために法改正などで環境を整えてきた政府はいらだちを隠せずにいる。

 「携帯電話業界のアポロ計画と言ってもいい、世界初のフルクラウドのサービスがいよいよ日本で始まる」。9月上旬に開催した携帯事業のローンチ会見は10月のサービス開始の公約を裏切ったことへの謝罪会見になるとの見方もあったが、強気な“三木谷節”は健在だった。

 「コスト抜群」強調

 会見の場で強調したのは楽天が通信網に全面採用した新技術の先進性や競争力だ。インターネット経由でソフトウエアやデータを管理するクラウドを使った「仮想化」の技術で、基地局や中継局の設備を価格の安い汎用機器にしても専用機器と同等の機能を持たせられるのが特徴で、初期コストを3割、運用コストは4割削減できるという。

 「はっきり言ってコストは抜群に安い」と三木谷氏は言い切る。通信の技術革新は早く、後発の方が技術優位性があると指摘し、「他社がマネできない料金体系になる」とも述べた。

 一方、計画の遅延の理由についても「(通信網の安定的な稼働が)確認できた段階で速やかにサービスインする。半年ではなく、1カ月後か3カ月後かもしれない」と、時期の明言を避けつつも強がってみせた。

 本格的なサービスの後ずれは基地局整備の遅れが主因とみられる。楽天は来年3月末までに3432局を整備する計画を総務省に提出したが、9月上旬時点の進捗は5分の1程度にとどまり、総務省から遅れを理由に3回にわたり行政指導を受けた。

 「やはりというのが正直なところだが、正直、肩すかし感もある」。携帯大手の幹部は楽天の本格サービスの延期を受けて、こう語った。

 楽天の計画はもともと通信業界では懐疑的にみられていた。ゼロから基地局などのインフラを整備するには巨額の投資と時間が必要であり、「楽天の見通しは甘い」(関係者)との指摘はかねてあった。

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